個人再生の手続きをした場合、官報に掲載されることになります。小規模個人再生について言えば、再生手続開始、書面決議に付する決定、再生計画認可決定時に公告がなされます。公告内容は次のとおりです。
「小規模個人再生による再生手続き開始」時の公告
平成27年(再イ)第1号
大阪市天王寺区生玉前町00番00号
再生債務者 山本 ○○
1 決定年月日時 平成27年1月21日午後5時
2 主文 再生債務者について小規模個人再生による再生手続きを開始する。
3 再生債権の届出期間 平成27年2月18日まで
4 一般異議申述期間 平成27年2月21日から平成27年3月7日まで
大阪地方裁判所第6民事部
「小規模個人再生による書面決議に付する決定」時の公告
平成27年(再イ)第1号
大阪市天王寺区生玉前町00番00号
再生債務者 山本 ○○
1 決議に付する再生計画案 平成27年3月1日付け再生計画案
2 再生計画案に対する回答期間 平成27年4月4日まで
平成27年3月10日
大阪地方裁判所第6民事部
「小規模個人再生による再生計画認可」時の公告
平成27年(再イ)第1号
大阪市天王寺区生玉前町00番00号
再生債務者 山本 ○○
1 主文 本件再生計画を認可する。
2 理由の要旨 平成27年4月4日までに書面による決議により可決があったものとみなされた再生計画には、民事再生法に定める不認可の決定をすべき事由はない。
平成27年4月10日
大阪地方裁判所第6民事部
もし、知り合いが上記の公告を見れば、「大阪市天王寺区生玉前町00番00号 山本〇〇」が、小規模個人再生の手続きをとったということは、一目瞭然で分かってしまいます。
しかし、官報の購入先の多くは官公庁や大企業です。また、発行部数も5万部程度と少なく、一般市民が購入することはほとんどありません。一方、官報には、一年間に2万件以上の破産、個人再生に関する公告が掲載されています。またそれ以外にも、法律の公布等多くの記事が掲載されていることから、一般人が、官報を閲覧しその膨大な情報の中から、特定個人の情報に偶然接する可能性はかなり低いと思われます。
この意味からは、「官報に掲載されても、官報を見る人はほとんどいないので、個人再生をしたことを人に知られることはまずない」といえます。
しかし、現在、官報は紙ベース以外にもインターネットのウェブサイト上で公開されており、昭和22年5月3日以降の官報の情報を検索・閲覧することが可能となっています。また、官報情報をデーターベース化している業者もあるようです。これを利用するば、特定個人が、過去に破産、個人再生の申立をしたかということを比較的簡単に調べられます。
言い換えれば、あなたが、個人再生の手続きをしたとして、そのことを、官報で偶然知られる可能性はとても低いが、誰かがあなたが過去に個人再生の手続きをしたかを調べようと思えば官報の公告から比較的簡単に調べることができるということです。もし、将来あなたが有名人になったとしたら・・・誰かが何かのきっかけで調べることがあるかもしれません。その程度の可能性はあると考えておいてください。
ただ、個人再生の手続きをしたことは、決して自ら公表する必要はありませんが、何が何でも隠し通さなければならない過去でもないと考えます。たとえ知られても、それほど特殊な手続きでもなく、事実は事実として認めれば、それ以上に興味を示す人はあまりいないのではないでしょうか。