会社設立イメージ
 会社設立の手続は大きく6つのステップに分けられます。(1番目の許認可については、特定の業種のみ必要となります。) ここでは、株式会社を念頭において解説します。平成18年5月1日に施行された新会社法に対応しています。
   許認可(打合せ)  
           
   商号の調査  
           
   定款認証  
           
   出資金の払込み  
           
   登記  
           
   官公署への届出  
 以下、各ステップごとに説明します。
 1.許認可(必要な場合のみ)
 一定の業種については、営業に先立って国や都道府県などの許認可を受ける必要があります。業種によっては、一定の有資格者や実務経験者を雇用する必要があるなど、準備に時間のかかる場合があり、また、許認可がおりるまでの期間も業種によって違いますので、あらかじめ関係官庁と打合せをしておき、スケジュールが大きく狂わないようにしましょう。なお、許認可の申請は設立登記後に行います。

  以下、許認可を必要とする主な業種をまとめてみました。各都道府県によって取り扱いに若干違いがありますので、事前に確認する必要があります。
    業種 区分 申請先 受付窓口  
    飲食店経営 許可 知事

保健所

 
    菓子製造業 許可 知事 保健所  
    食肉販売業 許可 知事 保健所  
    魚介類販売業 許可 知事 保健所  
    旅館業 許可 知事 保健所  
    風俗業 許可 公安委員会 警察署  
    古物商 許可 公安委員会 警察署  
    建設業 許可 国土交通大臣または知事 都道府県庁  
    人材派遣業 許可 厚生労働大臣 公共職業安定所  
    クリーニング業 届出 知事 保健所  
    理容院・美容院 届出 知事 保健所  
    貸駐車場 届出 知事 都道府県庁  
    警備業 認定 公安委員会 警察署  
    一般旅行業 登録 国土交通大臣 陸運局  
    酒類販売業 免許 税務署長 税務署  
    宅建業 免許 国土交通大臣または知事 都道府県庁  
 
 2.商号の調査
 会社名(商号)と所在地の双方が同一の会社は登記することができません。そこで、会社設立に当たって、事前にこのような会社が登記されていないことを法務局で調査する必要があります。

  平成18年5月に会社法が施行される前は今よりも制限が厳しく、同一市区町村内では事業目的と会社名の双方が同一または類似する会社の登記ができませんでした。実際に事業目的と会社名が類似するケースは少なくなかったので、事前の調査は欠かせませんでした。また、事業目的についても、あいまいな表現を認めると他社が登記するときに類似性の判断が困難になるため、過去の事例に照らした定型的な表現が求められました。

  これに対して、会社名と所在地(○番○号まで)の双方が一致する可能性は極めて少ないと考えられるので、今後商号や目的に関する事前の調査は不要であると考えられているふしもあります。

  しかし、会社名と所在地が重複しなければよいというのは、あくまで登記手続き上の話であって、たとえば既存の会社と類似した会社名を使って近隣で同種の営業を行ったような場合に、不法行為が成立する可能性がある点はこれまでと変わりません。従来は、登記段階のチェックによってこのようなトラブルの何割かが未然に回避されてきたといえますが、今後は自己の責任でトラブルを防止しなければなりません。ですので、今後も商号や目的の調査は行っておいた方がよいといえます。
■商標登録
  会社の名称や事業目的の制限が緩やかになって登記しやすくなるのは、自分が会社を設立するときばかりではありません。当然のことながら、その後他人が会社を設立しようとする場合にも当てはまります。ですので、自分の会社名が不当に使用されることのないよう、対策を講じておく必要があります。商標登録はその一方法として検討する価値があります。
 
 3.定款認証
  会社名や事業目的といった会社にとっての基本事項を定款(ていかん)という形にまとめます。 定款は会社にとっての憲法とも言うべきもので、一度決めると簡単には変更できないようになっています。
  株式会社を設立する場合には、定款を作成するだけでなく、その認証手続も必要になります。定款の認証は公証役場で行われます。書類の不備がなければ即日認証してもらえます。
 
 4.出資金の払込み
 定款認証が終わると、金融機関に出資金の払込を行います。出資金は会社成立後資本金となるものですから、設立までに払込みが確実に行われている必要があります。このことを証明するために、設立登記を申請する際に、たとえば発起人の口座に出資金が振込まれたことを示す預金通帳のコピーなどを提出しなければなりません。
 
  平成18年5月の会社法施行以前は、出資金について銀行から払込金保管証明書を発行してもらう必要がありました。保管証明書を発行すると、銀行は法律上重い責任を課せられるのと、会社設立後はその会社の取引銀行となる可能性が高いことから、銀行の側で事前に厳しい審査を行っていたようです。実際に、普段取引のない銀行へ払込金の取扱いを頼んだところ断られたというケースも多かったようです。
  ところが、会社法施行に伴いこのような証明書は不要とされ、手続が簡単になりました。銀行を探す手間が省けそうです。
募集設立の手続
 株主を募集して設立する方法(募集設立)の場合は、例外的に金融機関発行の払込金保管証明書が必要とされます。広く一般から株主を募集する手続においては、設立手続をより厳格に進める必要があるからです。
 
 5.登記
  定款その他の必要書類が整い、金融機関への払込みが済んだら、法務局に会社設立登記を申請します。申請後1週間前後で手続が完了します。設立登記が受理された時点で、法的に会社が成立したことになります。
  登記完了後、金融機関から出資金を引出し、会社の運転資金に当てることができます。
 
 6.官公署への届出
 会社設立後、官公署への届出が必要になります。届出が必要なのは、主に次の6カ所です。
    届出先 届出書類  
    税務署 法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書等  
    都道府県税事務所 事業開始等申告書または法人設立届  
    市町村役場 事業開始等申告書または法人設立届  
    社会保険事務所 新規適用届、被保険者資格取得届等  
    労働基準監督署 保険関係成立届、概算保険料申告書  
    公共職業安定所 適用事業所設置届、被保険者資格取得届  
 このうち、特に気をつけなければいけないのは、税務署に対する青色申告の承認申請です。青色申告とは、帳簿の備付け、記録、保存義務が課されるのと引き換えに、税務上の特典が与えられる制度です。特典のうち、新設法人にとって節税効果が高いのは、欠損金の繰越控除が可能となる点です。青色申告の承認を受けておけば、ある年度で欠損金が発生した場合、翌年度以降7期に渡って赤字を繰り越すことができるので、その間に黒字が発生した場合に両者を相殺して納税額を減らすことができるのです。
  初年度からこのような特典を受けるためには、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の終了の日とのうちいずれか早い日の前日までに、青色申告の承認申請書を税務署に提出する必要があります。
     
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