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平成18年5月1日に新会社法が施行されました。従来の商法第2編(会社)を独立させて、内容的にも極めて大規模な改正が施されました。 ここでは今回の改正を機に何をすべきか、また、何ができるのかといった視点から、問題となる点をQ&Aの形にまとめてみました。
新たに会社設立をお考えの方は、設立手続の流れのページも合わせてご覧ください。
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| Q.資本金制度がなくなるというのは本当ですか? |
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資本金制度そのものが無くなるわけではありませんが、資本金の最低金額の制限が撤廃されます。
したがって、資本金1円の会社を設立することも可能になります。従来、株式会社の資本金は最低1000万円 とされていましたが、起業を促進する意味から、今回この制限が廃止されることになりました。
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| Q.現在1000万円の資本金を簡単に0円にできるのですか? |
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確かに最低資本金制度が撤廃され、既存の会社は現在の資本金の額を0円に減少することも理論上は可能とされています。
しかし、資本を減少するためには、基本的に従来と同様の債権者保護手続が必要となります。つまり、会社設立時など初めて資本金を決めるときは、いくらでも自由に決められるものの、一旦資本金を決めてしまうと、その後は無制限に減少することができなくなるわけです。
なぜなら、金融機関や取引先は現在の資本金の額を基礎として取引関係に入っているからです。
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| Q.2年に1回の役員の登記はしなくてよくなるのですか? |
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定款に株式の譲渡制限規定のある会社(非公開会社)は、定款変更によって役員の任期を10年にすることができるようになります。定款を変更しなければ従来どおり任期は2年であり、2年に1回の登記が必要になります。
ここで注意しなければいけないのは、任期途中で一部役員を交代させる必要が生じた場合に、本人に辞任の意思がなければ解任という手段に出なければならなくなる点です。(正当な理由なく解任した場合は損害賠償の対象になります。)任期が2年であれば、次の改選の際再任しないという方法で事実上解任できるのですが、任期が10年になると次の改選まで待ってはおれないという状況が出てくるものと思われます。任期を長くする場合には、選任に際して今まで以上に慎重な判断が必要になるでしょう。
それともう一点、任期を10年にすると改選の手続をつい忘れてしまいがちになることが予想されます。司法書士や、決算処理を委託されている顧問税理士に頼んで、役員の任期を管理してもらうとよいでしょう。 |
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手続はこうする 例:取締役の任期を10年にする場合
@定款変更
株主総会の特別決議により、取締役の任期に関する定款の規定を変更する。 |
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| Q.取締役は1名でもよいのですか? |
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定款に株式の譲渡制限についての規定のある会社(非公開会社)は取締役を1名とすることも可能です。
これまでは3名以上必要だったため、数合わせのために親族や知人の名前を借りる会社も少なくなかったと思われますが、このような会社では実際に取締役会が開かれることはないため、何かトラブルが発生したときにこの点を突かれると会社が大混乱に陥る危険があります。(たとえば、代表取締役は取締役会で選任されることになっているところ、取締役会が実際に開かれていないため、代表取締役の選任は無効であり、従って代表取締役のなした取引も無効であるといった主張がなされる可能性があります。)
これまで名目的取締役を置いていた会社も、今回の改正をきっかけに、今後はなるべく置かないようにすべきでしょう。なお、取締役会を置くためには取締役の定員を3名以上としなければなりませんので、取締役を1名にする場合は、取締役会を設置することはできません。
既存の株式会社の定款には、通常、取締役の定員(最低3名)や取締役会について規定されているので、取締役を1名ですませるためには、機関に関する定款の規定を全面的に変更する必要があります。 |
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手続はこうする 例:取締役を1名にする場合
@取締役の辞任
引き続き取締役に留まる者以外の取締役に辞任してもらう。
A定款変更
株主総会の特別決議により、取締役の員数に関する定款の規定を変更し、取締役会に関する規定を削除する。
B登記申請
辞任届、株主総会議事録等を添付して、取締役会を廃止する旨の登記及び役員変更の登記を申請する。
※補足
既存の株式会社については、会社法施行に伴い取締役会を設置するものとみなされ、会社法施行時に取締役会を設置する旨の登記が職権でなされます。したがって、取締役会を置かない場合は、上記のように取締役会を廃止する旨の登記を申請する必要があります。 |
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| Q.会計参与を置くことのメリットは何ですか? |
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今回の改正で会計参与という役職が新設されました。この会計参与は、取締役と共同して決算書を作成します。取締役会を設置しない小規模な会社では、監査役や会計参与などの監査機関を設置するかどうかは基本的に会社の任意とされます。会計参与を置く場合は、従来の監査役を廃止しても、引き続き存続させても構いません。
会計参与の資格は会計・経理の専門家に限定されていること、会計参与の責任が会社に対してだけでなく、会社の債権者に対しても直接問われる形になっていることから、会計参与を置くことによって、決算書の
信頼性が高まることが期待されます。融資を受ける際にも、金融機関の心証がアップするものと思われます。 |
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手続はこうする 例:監査役を廃止して、会計参与を置く場合
@定款変更
株主総会の特別決議により、監査役に関する定款の規定を削除し、会計参与に関する規定を設置する。
A会計参与の選任
株主総会の普通決議により、会計参与を選任する。
B登記申請
上記株主総会の議事録等を添付して、監査役を廃止する旨、会計参与を設置する旨及び役員変更の登記を申請する。
※補足
既存の株式会社については、会社法施行に伴い監査役を設置するものとみなされ、会社法施行時に監査役を設置する旨の登記が職権でなされます。したがって、監査役を置かない場合は、上記のように監査役を廃止する旨の登記を申請する必要があります。 |
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| Q.株主総会を開かなくてよくなるのですか? |
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書面決議の制度が導入され、実際に株主総会を開かなくても決議できるようになりました。ただし、議案についての株主全員の書面による同意が必要とされます。
従来、小規模な会社では実際に株主総会が開かれることは稀であるといわれていましたが、このような形で簡単に決議できるようになった以上は、後日の紛争を避ける意味からも、法律の規定に従った手続を踏むことをおすすめします。 |
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手続はこうする 例:書面決議
@議案書作成
株主総会で決議すべき議案を記載した書面を作成する。作成者は、取締役でも株主でも構わない。
A株主全員の署名
上記議案に賛成する旨を記載し、株主全員が署名する。
B登記申請
決議事項が登記事項である場合は、登記申請を行う。
※補足
書面決議の制度は、従来から認められている書面投票の制度とは異なるものです。書面投票は、実際に会議が開かれることを前提に、欠席株主が書面で議決権を行使できるようにする制度です。それに対して書面決議は、会議の実体がなく、書面のやり取りだけで決議を成立させるものです。
なお、上記@Aの方法は一例であり、他の方法でも構いませんが、株主全員の書面による同意という点は必要です。
書面決議がなされた場合、上記同意書の他に、法務省令で定められた事項を記載した「株主総会議事録」を作成し、本店に備え置くこととされています。株主や会社の債権者に株主総会議事録の閲覧権が認められていることに対応したものと考えられます。 |
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| Q.今度の改正で負担が増える点は何ですか? |
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株式会社は定款所定の方法により、定時株主総会における承認後遅滞なく、貸借対照表またはその要旨の公告(決算公告)をすることが義務付けられています。(この方法に代えて、ホームページ上で貸借対照表の全文を開示することもできます。)
今回成立した会社法は、会社の自治を広範に認める内容となっており、これにより、とりわけ小規模会社で顕著であった、法律上の建前と現実とのギャップが相当程度埋められるものと期待されています。
ところが、決算公告の制度については、小規模会社にも引き続き適用され、他の分野で負担が減った分、
この決算公告に関する取締りは今後かえって強化されることも予想されます。ちなみに、公告を怠った場合は、100万円以下の過料に処せられると規定されています。 |
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| Q.決算公告にかかる費用はどの程度ですか? |
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決算公告の方法としては、定款所定の方法とホームページ上で開示する方法とがあります。さらに、定款所定の方法としては、@官報、A時事に関する日刊新聞紙(業界新聞や週刊誌等は不可)またはB電子公告に掲載する方法があります。
資本金1億円以下の会社が標準的な書式で官報に掲載する場合の費用は、税込みで59,126円です。
(平成18年1月1日現在)Aは多くの場合大規模会社で採用される方法ですが、莫大なコストがかかるため、Aに代わる方法として平成16年に導入されたのがBです。いずれにしてもA、Bの方法は、現在のところ大規模会社以外ではメリットがあるとはいえないので、ここでは触れません。 |
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| Q.ホームページ上で開示する方法は? |
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すでに自社のサイトを立ち上げている場合は、そこに新たなページを追加するだけですみます。これが最もコストのかからない方法でしょう。しかし、URLが登記事項になっているのと、向こう5年間掲載を続ける義務があることなどから、官報と比べて決算内容がオープンになり過ぎるきらいがあります。
自社のサイトを持たない場合は、他人のサイトに掲載してもらうことも可能です。この場合は、基本的に掲載料が必要です。5年間の掲載が義務付けられているので、信用の置けるサイトを選ぶ必要があります。 |
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手続はこうする 例:貸借対照表をホームページ上で公開する場合
@貸借対照表をホームページ上に公開する旨の決定
取締役の過半数の一致により、貸借対照表をホームページ上で公開する旨、及び掲載するページのURLを決定する。(取締役会が設置されている会社の場合は取締役会決議による。)
A登記申請
上記取締役の過半数の一致を証する書面(または取締役会議事録)を添付して、登記申請を行う。
B貸借対照表の承認
定時株主総会の普通決議により、貸借対照表を含む計算書類を承認する。
Cアップロード
貸借対照表の全文を記載したページをアップロードする。
※補足
@・Aの手続きは最初に1回行えば、URLを変更しない限り、翌年以降は不要です。貸借対照表の承認は、前述した書面決議の方法で行うこともできます。ホームページ上で公開する場合は、官報による公告とは異なり、貸借対照表の全文を掲載する必要があります。また、一定の大規模会社については、貸借対照表の他に、損益計算書も掲載しなければなりません。 |
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| Q.既存の有限会社はどうなるのですか? |
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平成18年5月1日以降、あらたに有限会社を設立することはできなくなりました。新会社法の下では、株式会社の運営方法の選択肢が広がって、従来の有限会社的な運営も可能になったため、あえて有限会社という会社類型を認める必要性が乏しいと考えられたためです。
会社法施行前から存続する有限会社については、今後も存続が認められます。法律上は株式会社の一類型と位置付けられますが、「有限会社」の名称を引き続き使用することになります。また、役員の任期を初めとする現行の有限会社法の規定が、特例として引き続き適用されます。(有限会社の役員の任期については、会社の自治に委ねられており、無期限の会社が多いようです。)
通常の株式会社に組織変更することは今後も可能です。最低資本金制度が撤廃されたため、従来のように1000万円以上に増資することなく、現在の資本金のままで組織変更することができます。 |
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| Q.有限会社から株式会社への変更は簡単にできるのですか? |
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株主総会の特別決議で変更可能です。具体的には会社名から「有限会社」の文字を削除し、「株式会社」の文字を加える定款変更を決議します。会社名の中で会社類型以外の部分を変更しても構いません。(決議要件は、従来の有限会社における特別決議と同様です。)
登記にかかる費用は、実費(登録免許税)として6万円(資本金300万円の有限会社を同額の株式会社に変更、支店がない場合)、その他司法書士に対する報酬が必要となります。 |
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手続はこうする 例:資本金の額を変えずに有限会社から株式会社に変更する場合
@定款変更
株主総会の特別決議により、会社名に関する定款変更を決定する。
A登記申請
上記株主総会の議事録等を添付して、変更の登記(形式上は、有限会社の解散の登記及び株式会社の設立の登記)を申請する。
※補足
有限会社から株式会社に変更すると、基本的に取締役会や監査役、会計参与などが置かれない、もっともシンプルな形態の株式会社になります。したがって、これらを設置しようとする場合は、改めて定款変更の手続が必要です。この手続は会社名の変更と同時に行うこともできます。 |
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| Q.既存の1円会社はどうなるのですか? |
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平成18年5月に施行された会社法によって最低資本金制度が撤廃されたため、最低資本金制度の特例としてのいわゆる1円会社(確認会社とも呼ばれます。)の制度が廃止されました。既存の1円会社の定款には、設立後5年以内に増資しないときは解散する旨の規定が置かれ、登記もされています。今回の会社法でこれらの定款規定が自動的に無効となるわけではなく、増資の義務を免れようとすれば、この定款規定を廃止する手続が別途必要になります。
定款変更などの手続を行わず、増資もしないときは、5年後に自動的に解散してしまいますので注意が必要です。 |
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手続はこうする 例:1円会社が増資をしなくてもすむようにする場合
@定款変更
取締役の過半数の一致により、5年以内に増資しないときは解散する旨の定款の規定を廃止する。(取締役会が設置されている会社の場合は取締役会決議による。)
A登記申請
上記取締役の過半数の一致を証する書面(または取締役会議事録)を添付して、登記申請を行う。
※補足
通常定款変更を決定するためには、株主総会の特別決議が必要ですが、要件が緩和されています。 |
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| Q.合同会社(LLC)とは何ですか? |
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今回の会社法で新しく合同会社(LLC)という会社類型が認められるようになりました。合同会社の特色は、@原則として出資者全員が会社経営に参加すること(所有と経営の一致)と、A出資者が借入先などの会社債権者に対して直接責任を負わない点(有限責任)にあります。
この点従来から存在する会社について見てみると、まず、合名会社・合資会社については、合同会社と同様、所有と経営の一致はみられますが、出資者(合資会社の有限責任社員を除く)は会社債権者に対して無限責任を負担します。すなわち、出資者全員がみずから会社経営に参加するとともに、会社が債務を返済できないときは、出資者が代りに個人財産をもって返済する責任を負います。
一方、株式会社は、出資者の責任が有限責任である点では合同会社と同じですが、多くの出資者が資本を持ち寄る形を想定しているので、出資者全員が経営に参加することは困難であり、会社経営は出資者から委任された役員が行うのが原則です。(所有と経営の分離)
つまり、合同会社は、合名・合資と株式のそれぞれから都合のいい部分を取り出して合体させたような形になっているのです。
これは、出資者が一人または数人の小規模な会社にとっては、非常に都合のよい制度だといえます。従来このような小規模会社は、株式会社の形態を取ることによって有限責任の利益を享受しつつ(A)、一方で株式譲渡制限規定を設けるなどして、株主の顔ぶれと出資比率を固定させることにより、事実上所有と経営の一致を実現させてきた(@)といえます。
しかしながら、株式会社という会社類型は、会社経営を他人に委託する株主と、出資者の個人財産を引き当てにできない債権者を保護するために、きわめて複雑で厳格な規制が設けられており、小規模の会社がこのような法的規制を100%遵守することは困難であるともいわれてきました。
この点、合同会社は正面から@Aを認めた会社類型であり、株式会社と比べて設立時・設立後の手続も非常に簡単なものとなっています。今後、中小の会社に対しても法令遵守(コンプライアンス)の要請が強まることが予想される中で、合同会社という会社類型を選択するのも一方法でしょう。既存の株式会社から合同会社に組織変更することも可能です。 |
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