平成15年に司法書士法が改正され、140万円までの民事に関する紛争について、認定司法書士が、相談に応じ、裁判外の和解を代理し、また簡易裁判所での訴訟代理が出来るようになりました。
  言い換えれば、司法書士は今後、紛争の額が140万円までの少額の事件に特化することにより、市民により近い法律専門職能として迅速かつ安価な費用で市民に良質の法的サービスを提供することが使命となったといえるのではないでしょうか。

  例えば、100万円で絵画を買わされた、キャッチセールスで化粧品を30万円で買わされた、内職を斡旋するとしてパソコンを買ったのに内職の斡旋が無い、友人からネットワークビジネスの勧誘を受けた、ヤミ金から借入をし執拗な催促を受けている等どれもこれも本人にとっては切実な問題です。
  これら消費者問題の大部分は140万円までの被害額です。これらの消費者問題に、いかに誠実にかつ迅速に対応できるかが、今司法書士に問われているのだと考えます。

  決して泣き寝入りはしないで下さい。消費者被害のうち、実際争いになっているのは数パーセントだといわれています。事業者側としては、大部分の消費者が泣き寝入りをすることで莫大な利益をあげています。
  今後、多くの人が被害救済に向けて声をあげることが、今後の消費者問題の解決につながるものと考えます。

 不本意にも悪徳商法にかかわってしまった場合、どのような対策を講じることができるでしょうか。契約前の段階から、契約時・契約直後の段階、契約後かなり日数が経過してしまった段階に至るまで、時間の経過に伴ってとりうる手段は違ってきます。 次にそれぞれの場面ごとでの、対処法についてまとめてみたいと思います。

■■■契約前
 しつこい勧誘
 電話やメール、ダイレクトメールなどで業者がアプローチしてきただけの段階では、業者からの働きかけがあるだけなので、怪しいと思ったら基本的に放っておくだけで構いません。むしろ、こちらから電話をかけて断ったりすると、業者のリストに登録されてしまい、かえって攻勢をかけてこられる可能性があります。
  法律で、電話勧誘販売の締結をしない意思表示をしたものに対し、当該契約の締結について再勧誘することが禁止されています。あまりに勧誘がしつこい場合は、もよりの消費生活センターに相談されるのも一方法です。
 買ってもいない商品が送られてきた場合
 注文した覚えのない商品を一方的に送りつけておいて、一定期間内に「返送しないかぎり契約が成立したものとみなす」などという文書と代金の請求書が添えられるケース(ネガティブオプション)がありますが、このような業者側の一方的な行為だけで契約が成立することはありません。
  問題は、送られてきた商品をどうするかですが、受け取った側に商品の返送義務はなく、業者の方で商品を引き取りに来なければなりません。さらに、受け取った商品をいつまでも保管するのは負担になるので、一定期間経過後は商品を処分してもよいことになっています。
 裁判所から訴状、支払督促が送られてきた場合
 先ほど放っておくだけで大丈夫だといいましたが、例外的に裁判所からの郵便物には注意が必要です。最近、出会い系サイトやアダルトサイトの利用料という名目で、まったく身に覚えのない請求書を送りつける手口(架空請求)が増えていますが、中には裁判所の支払督促という形をとる悪質なケースもみられます。(支払い督促は、裁判所が債権者側の言い分を聞くだけで発せられます。)この場合は、いくら身に覚えのないことだからといってそのまま放置しておくと、支払い督促が確定してしまいます。確定を避けるためには、裁判所に対して一定期間内に督促異議の申し立てをすることが必要です。なお、この場合、本当に裁判所から通知が来る場合と、単に裁判所の名をかたっている場合とがありますので、注意が必要です。
■■■契約時・契約直後
 クーリングオフによる対応
  契約を結び、商品も受け取ったが、後から考えてみるといかにも値段が高すぎる、自分にとっては必要なものではなかったなどと考え直すことがあります。このような場合は、クーリングオフができるかまず考えてみることです。どのような場合にクーリングオフが可能かは法令に細かく規定されていますが、それらに共通していえることは、相手方業者に問題行動がなくても無条件で行使できる反面、業者側を長期間不安定な状況に置くのは酷であるとして、きわめて短期の期間制限がかけられていることです。
  このようにクーリングオフは、業者の側に詐欺や強迫などの非行がなくても一定期間内であれば無条件で認められるものなので、業者側が争って紛争に発展するケースが少ないといえます。それだけ消費者にとっては強力な手段といえ、被害にあった場合には第一に検討すべき方法です。もっとも、期間内にクーリングオフの手続を行ったという事実だけははっきりさせておく必要がありますので、業者に対するクーリングオフの通知は内容証明郵便で行うようにしましょう。
 資料は大切に保存しましょう
 消費者契約が、後日トラブルになった場合、「言った」「言わない」と揉めるケースも多く、また、訴訟になった場合、立証の問題がありますので、事業者から交付を受けた書類は、契約書に限らず、パンフレットや説明を受けたメモ書きも保存しておいてください。また、契約の経緯や、担当者の名前、日時等も記録しておいてください。
■■■契約後
 クーリングオフ期間が過ぎた場合、クーリングオフが認められないといわれた場合
 さらに、法律上の要件を満たさず、クーリングオフができない場合であっても、業者の側に消費者の自由な意思決定を歪めてしまうような一定の問題行動(帰ろうとしたのになかなか帰らせてくれない、消費者がその事実を知れば契約しなかったであろうと一般に考えられる事実をあえて告げなかった等)があれば、契約を取消すことができます。このようなときは、業者が不利益を受けてもやむをえない場合といえるので、取消権はクーリングオフに比べてかなり長期間にわたって認められています。
  クーリングオフが認められない場合であっても、商品が不良品であれば、業者としては通常の品質を備えた商品を消費者に引き渡す義務を尽くしていない(債務不履行)ことになります。この場合、業者に対して不良品でない商品の引渡しを催促した上で、これが聞き入れられないときには契約を解除することができます。
 中途解約できる場合
 さらに、エステ、英会話教室、結婚紹介サービスなど、継続的にサービスを受ける一定の契約については、中途解約が認められています。これは、すでにサービスを受けた部分については有効として扱い、将来に向かって契約関係を解消するものです。まだサービスを受けていない部分についてすでに代金を支払っているときは、業者から代金の返還を受けることができます。ただし、違約金の取り決めがあるときは、法律で認められた範囲内で支払う必要があります。この中途解約も、クーリングオフと同様、業者の側に非行があるか否かを問わず、いいかえると消費者側の都合だけで認められるものです。
 悪徳商法の被害に遭われた方は、本当に業者との関係を解消できるのか、支払った代金を返してもらえるのか、誰しも不安に思うものです。契約書に記載されたクーリングオフの期間を過ぎている、業者に無理やり引き止められて契約したがその証拠がない、受け取った商品の一部を使ってしまっている…等々マイナス要因ばかりが気になるものですし、業者の方でもその点を突いてきます。しかし、法律の専門家の立場で事態を冷静に分析してみると、様々なプラス要因が見えてくるものです。ある手段が使えなければ別の手段を検討し、それもダメならさらに別の方法を考える…というように、悪徳商法に対抗するための方法は法律上何重にも用意されています。
 たしかに、クーリングオフ以外の対処法は、消費者が事業者と直接交渉しようとしても相手は海千山千の業者ですので何かと難しい面があります。出来れば専門家に相談して解決を図ることをお勧めします。そこで問題になるのが、相談窓口をどう探せばいいのか。また、費用はどのぐらいかかるのかということです。

地元の消費生活センターに相談する
  全国各地に窓口があり消費者問題につき相談に応じてくれます。費用は無料ですのでお気軽にご相談ください。消費生活センター

■認定司法書士に相談する
  はじめにも述べたように、平成15年に司法書士法が改正され、140万円までの民事に関する紛争について、認定司法書士が、相談に応じ、裁判外の和解を代理し、また簡易裁判所での訴訟代理権が出来るようになりました。消費者問題のほとんどがこの範疇に入ると思いますので、ぜひ司法書士にご相談ください。大阪近郊の場合は、当事務所でも相談に応じておりますので、お気軽にお越しください。(ただし、相談料として1000円/1時間が必要です)なお、遠方で相談にこれない場合は、地元の司法書士会で、消費者問題に熱心な司法書士を紹介してもらってください。日本司法書士会連合会

■弁護士に相談する
  被害額が140万円を超える場合司法書士は、裁判所作成書類作成という形では援助できますが、代理人として交渉することは出来ません。この場合は、弁護士に依頼するのも一つの方法です。お知り合いがいない場合は、地元の弁護士会等で消費者問題に熱心な弁護士を紹介してもらってください。日本弁護士連合会

     
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